Atmosキャニスター誕生秘話 〜翻訳シリーズ15〜

7月 03日 2022年

Atmosキャニスター誕生秘話 〜翻訳シリーズ15〜

皆さまこんにちは、KiguのNaruoです。


FELLOWブログの翻訳シリーズ、第15弾。

彼らが随時更新している興味深いブログをもっとみなさまに知って欲しくて、翻訳しています。


今回のテーマは

「A Q&A With The Inventor Of Atmos Vacuum Canister」

 

直訳すると、

「Atmos真空キャニスターの発明者とのQ&A」。

 

大人気のAtmosキャニスター、その発明者がその開発秘話などをQ&A形式で語っています。

 

今回の記事で

Atmosに情熱を注いだ、とある大学生だったドリューの思いについて是非知ってください。

既にAtmosを持っている人も、まだ検討中の方も、一読の価値ありです。 



原文はこちら

 

Atmos Canister についてはこちら

 

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2018年10月12日

 

Atmosキャニスターの開発者にQ&A! 

フェローの最新製品「Atmos真空キャニスター」は、コーヒーをより長く新鮮に保つという重要な使命を担って発売されました。

 

見た目はシンプルなキャニスターですが、その中身はたくさんの科学技術が詰まっています。

 

Fellowの製品開発エンジニアであるドリュー・コスガレアは、スタンフォード大学3年のときにAtmosを発明し、その後4年間、製品化に向けて懸命に取り組みました。

 

Fellowの新しいエンジニアを讃えるために、ドリューに大学時代の古い写真を取り出してきてもらい、最も保存性に効果的なコーヒー容器の中で何が起こっているのかを深く掘り下げてみました。

 

Atmosの始まりを教えてください。

3年生の最後の四半期(2014年春)、私はスタンフォード大学のME203という授業を受けていました。

これは、10週間で物理的な製品のアイデアを考え、複数のプロトタイプを作り、四半期末に「完成版」を発表するという人気のデザイン&マニュファクチャリングのクラスです。

 

 

なぜ、コーヒーキャニスターに行き着いたのですか?

ちょうど私がコーヒーを飲み始めた頃が、授業のプロジェクトと重なります。週末に1袋買って1週間使うのですが、金曜日になると味が落ちてしまうんです。そこで、コーヒーをより長く、より新鮮に保つことができれば、良い製品になるのではないかと考えました。

 

 

最初のプロトタイプはどのようなものだったのですか?

Atmosの最初のバージョンは、その授業で作りました。ただし、ハンドポンプが付いたものです。このクラスの締めくくりに、d.schoolで開催された展示会で発表したのですが、そこには数百人の人が来て、すべての製品を見てくれました。

 

とある人が私のテーブルに来て、「これは実際に使ってみたいが、ポンプが別々なのが気になる」と言いました。

そこで、そのクラスの教授であるデビッド・ビーチのところに行って、「真空キャニスターはもっといいものが作れるよ」と進言しました。

 

そして、「Atmosを製品化するために指導してもらえないか」とお願いしました。


教授は、本当に難しいことだがしっかり時間を費やすことができるなら、4年生の秋に一緒に自主研究をしようと言ってくれました。

 

当時から私は、フタの中にポンプを入れ、ひねる動作で動力を得るという、前例のないことをやりたいと考えていました。

 

研究期間中は、観賞魚の水槽についているポンプの部品を切り出すところから始まり、何度も試作を繰り返しました。

しかし、自主研究の最後には、機能的な機械加工によって、このコンセプトの実証ができました。もう水槽ポンプは必要ありません!

 

卒業後はどうされたのですか?

そうですね、2016年のオリンピック水泳トライアルに向けてフルタイムでトレーニングするために、1年間アリゾナに引っ越したんです。

その間、非常に退屈してしまったので、トレーニングをしながらプロジェクトに取り組み続けました。

 

CAD(コンピューターデザインソフト)に取り組み、最終的には、友人や家族など、数人の投資家から2万5000ドルを調達し、この特許を取得するために協力してもらいました。

 

そして、ポンプ機構を内蔵した真空密閉容器の特許を取得しました。唯一の内部湾曲型真空ポンプです。フタに内蔵できる湾曲したポンプのデザインはなかったのです。

 

 

 

Fellowは、この話のどこに出てくるのでしょうか?

さて、その頃は2017年。Atmosのアイデアが生まれてから3年が経っていました。

特許出願のために最後のお金を使い果たし、私は力尽きていました。プロジェクトを諦めようとしたとき、スタンフォード大学のペリー・クレバーン教授と話をしました。

 

教授は、「このまま立ち去るのではなく、数年前にd.schoolで教授のローンチパッドのクラスで一緒だったFellowのジェイクと話をしたらどうだ」と勧めてくれました。

そこで、ドッグパッチ(サンフランシスコ)にあるFellowの旧オフィスに向かい、ジェイクに会いました。

 

偶然にも、Fellowは過去数年間、コーヒーを保存する容器を作りたいと考えていたので、ジェイクは私の技術をFellowの製品ポートフォリオに加えることに大興奮でした。

 

 

 

Fellowは、どのようにAtmosのマーケット進出を支援したのですか?

Fellowは2018年1月に正式にアトモスのプロジェクトをスタートしました。

余談ですが、私はこの製品をずっとHypo(低圧を意味する「hypobaric」に由来し、Atmosという名称は今年の7月までなかった)と呼んでいました。

最終的なネーミングには1ヵ月ほどかかりましたが、このような形になり、本当によかったと思います。 

 

とにかく、Fellowとブランチ・クリエイティブは、何カ月もかけて美しいデザインIDを作り上げ、問題点を解決していったのです。

そして6月、私は正式にFellowチームに参加することになりました。Atmosを諦めようとしていた時は思いもしませんでしたが、何かが私をFellowへと誘ってくれたのです。一緒に新しい製品をデザインすることに興奮を覚えました。

 

Fellowでの初日は、工場見学のために台湾へ飛んでいました。私は、湾曲ポンプの金型製作を見ることができました。このポンプは、私の発明の根幹をなすもので、非常に頭を悩ませていたものでしたので、実際に見ることができて、とても嬉しかったです。

 

旅行から帰ってきてからは、9月末の発売に向けて、デザインの改良と生産立ち上げの指導を行っています。 

 

 

なぜアトモスは現在市販されているものよりも優れているのですか?


発明当時、外付けのポンプを必要としない真空キャニスターはありませんでした。また、他のいくつかの非真空コーヒー豆キャニスターがありますが、彼らは完全なるただのギミックです。

 

理由はこうです。コーヒー豆を焙煎すると、香りと味をよくする化合物の束が形成されます。酸素が来て、これらの化合物から電子を抜き取る際に、良い香りや味も抜き取ってしまいます。これは酸化と呼ばれ、コーヒーが古くなる理由です。

酸化の速さは、酸素の圧力に依存します。もう一度言いますが、圧力です。化学の基本中の基本です。真空で保存していなければ、酸化を遅らせることはできないのです。

 

正直、真空でない容器は、コーヒーバッグに豆を入れたまま、タブを折っているのと変わりません。言うまでもなく、アトモスは美しいデザインで、ミニマルです。そして中にポンプがあることが分からないようにするのが、大きなアイデアなのです。


 

アトモスを作る上で、大きな苦労はありましたか?

少なくとも4回は、このプロジェクトを投げ出したいと思ったことがあります。友人や家族からお金を借りていることが、唯一の心の支えだったこともあります。彼らを失望させたくなかったんです。


赤ちゃんがようやく世に出た今のお気持ちは?

とても満足です。最初のアイデアから、工業デザイン、マーケティングキャンペーン、製品化までの全プロセスを見ることができるなんて、とても不思議な感じです。それが実際に可能だとは、想像もしていませんでした。



あなたのお母さんは、発売日に何台のアトモスを購入されましたか?

シーラ・コスガレアは6個買いました。クリアガラスとマットブラックのステンレスのセットです。

 

 


アトモスには何を収納するつもりですか?

1.2リットルのクリアグラスには、絶対にコーヒー豆のフルバッグを入れるつもりです。ラベルを見て、飲んでいるコーヒーのテイスティングノートを覚えたいんです。また、スペシャルティバッグはデザインが良いのに、なぜカバーをするのでしょうか?また、Atmosの中にコーヒーの袋ごと入れると、袋も真空密封されるのです

 



さて次の発明は何でしょうか?

Atmosのアイデアから製品出荷まで、4年かかりました。次のFellowの製品では、それを8ヵ月に短縮することが目標です。それが、私がここにいる理由です。Fellowには、その方法を学ぶためのリソースと指導者が揃っていますし、素晴らしいブランドのためにデザインすることに喜びを感じています。

(注:お金を払って言わせたわけではありません。 彼は私たちの給料をもらっているのですが...)。

 

 

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Naruoのコメント

 

いかがでしたでしょうか。

 

Atmosの誕生は、大学生のアイデアが発端だったんです。彼が諦めずに続けてくれたおかげで、素敵なアイテムがコーヒー業界に生まれました。

 

Fellowの創業者ジェイクと偶然出会えたことは、まるでドラマのような展開ですよね。

彼の努力がそういう運命を引き当てたのでしょうね。

Fellowはそういった新しいアイデアも取り入れて活用する、本当に良いメーカーです。今後の新商品にも期待できます。

 

 

Naruo

 

<補足説明>

彼が本文中で言っている、「酸化の速さは圧力によって変わる」ということ。少しややこしいですよね。

 

低圧力下になると、空気が減り、真空に近くなります。この空気が減った状態においては、電子の移動が極端に減ります。そしてこの電子の移動 = 酸化と考えることができます。つまり、低圧力下においては酸化は遅くなり、コーヒー豆から味や香りが抜けにくいということです。まだややこしいですね、すみません。

 

この真空特性を利用しているもので身近なものに魔法瓶があります。

真空中では電子の移動が減るので、温度も移動しにくくなります。そのため、真空で囲まれた魔法瓶内の液体は、温度を外に逃せなくなり、保温ができるというわけです。

真空についてはこちらのサイトが分かりやすく解説していました。

 

 

今回紹介したAtmos キャニスターについてはこちら


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